教育現場で新聞を活用する「NIE(教育に新聞を)」の実践報告をする第28回NIE全国大会が3日、松山市で開幕した。大会スローガンは、情報通信技術(ICT)の活用を念頭に置いた「ICTでひらくNIE新時代」。開会式で日本新聞協会の中村史郎会長は「紙の新聞の良さを伝えながら、デジタルも活用したNIE像を探りたい」と述べた。
この日はパネルディスカッションが行われ、愛媛新聞社の地域読者局読者部の大植美香部長が自社の教育用ウェブサイトを紹介。振り仮名を振った記事や、記事を基にしたワークシートが用意してあり、県内の小中学校の朝学習などで広く使われていると説明し「ICTがNIEの間口を広げ、新聞の価値が再認識されている」と強調した。
記念講演では松山市在住の俳人、夏井いつきさんが、17音で豊かな情景を描写する俳句の魅力を伝えた。「人工知能(AI)と共に生きる時代に、私たち人間の強みは生々しい身体感覚。新聞には手触りがあり、その中には物事を熟考する時間がある。強みを生かし、上手に活用してほしい」と語った。
大会に参加した明徳小(秋田市)の吉田恵美教諭は「紙とデジタルの新聞の使い分けに悩むこともあったが、それぞれの良さを踏まえて利用するのが大切だと感じた。実践のヒントもあり、学校での取り組みに生かしたい」と話した。