NIE全国大会が閉幕 新聞活用、実践例を報告

NIE全国大会の公開授業で、出生前診断について討論する高校生=2日、宇都宮市

 「深い対話を育むNIE」をスローガンに宇都宮市で開かれていた第24回NIE全国大会は2日、新聞記事から得た知見をもとに、社会問題について生徒が活発に討論する公開授業など、さまざまな実践例を報告し、2日間の日程を終えた。来年は秋に東京で大会を開く。

 文星芸術大付属高校(宇都宮市)の公開授業では、胎児の染色体異常を調べる出生前診断について、生徒が賛成、反対の立場に分かれて意見を戦わせた。「診断で助かる命がある」「障害がある胎児の差別や中絶を助長する」とそれぞれ主張し、記事やデータを根拠として反論するなどした。

 竹内昭夫教頭(60)は、知識の習得だけでなく活用力をみる大学入試改革の方向性を踏まえ、「正解がない問いに、答えを導く能力が求められている。それを養うのに(今回のような)ディベートは最適だ」と話した。

 宇都宮大付属小学校の実践報告では、地元紙に投書を書く活動や、教育実習生向けにクラスの特徴を伝える新聞をつくる取り組みが紹介された。

 本県から大会に参加した横手市立十文字第一小学校の赤川美和子教諭(日本新聞協会NIEアドバイザー)は「子どもたちが社会に参画する意識を高く持てば、未来を良くすることにつながる。NIEは学力向上という面だけではなく、こうした先を見通した教育だと実感した。現場でも伝えていきたい」と話した。

(2019/08/03 秋田魁新報掲載)