京都市で全国大会開幕 新聞活用し探究深めて

第29回NIE全国大会で行われたパネルディスカッション=1日午後、京都市

 教育現場で新聞を活用する「NIE(教育に新聞を)」の実践報告をする第29回NIE全国大会が1日、京都市で開幕した。スローガンは「探究と対話を深めるNIE デジタル・多様性社会の学びに生かす」。日本新聞協会の中村史郎会長は開会式で「子どもが自ら問題解決する力の養成を後押しする手法の一つが新聞活用だ」と強調した。大会は2日まで。

 パネルディスカッションが行われ、学校教員や研究者らが新聞活用の意義を議論。シンクタンク「スマートニュース メディア研究所」の長沢江美研究員は「玉石混交の情報社会で、子どもがメディアごとの特性を知り、生き抜く力を身に付けるにはNIEの活動が効果的だ」と話した。

 子どもの新聞離れを止めるため、記者個人の苦労や思いを伝える取り組みが有効ではないかとの意見もあった。

 基調講演では歴史学者の磯田道史さんが、江戸時代に瓦版などを見て知識を得ていた庶民の学びを紹介。人工知能(AI)が発展する21世紀では「AIの裏をかく賢さが重要になる」と述べ、新聞も時代に合わせて伝える内容を工夫すべきだとの見方を示した。

 初めて参加した明徳小(秋田市)の小玉多朗教諭(29)は「多くの子どもがデジタル端末を操作できるようになっているが、情報を正しく活用して人と関わり、社会とつながることが大切だと思う。改めて新聞を使った学習が効果的だと感じた」と話した。

(2024/08/02 秋田魁新報掲載)