「ICT(情報通信技術)でひらくNIE新時代」をテーマに松山市で開かれた第28回NIE(教育に新聞を)全国大会は4日、記事に込めた記者の思いを読み解く授業などの実践を報告し、2日間の日程を終えた。来年は京都市で開催する予定。
愛媛大教育学部付属中3年の公開授業では、愛媛新聞社の教育用サイトに掲載された記事を多様な視点から理解するため、取材を受けた当事者や執筆した記者をゲストに招いた。
保護された犬や猫を新たな飼い主に譲るイベントの記事が題材。生徒の藤本まなほさん(14)は「ご縁をつなぐ」という主催者の言葉を盛り込んだ理由を増田有梨記者(35)に質問した。「ただ譲るのではないのだと印象に残った」との返答に、藤本さんは「読み飛ばすような所にも思いが込められている。自分が読み書きするときも気を付けたい」とうなずいた。
愛媛県立松山盲学校の沖田栄江教諭(56)は、生徒がスマートフォンの読み上げ機能で新聞社のインターネット記事を読んでいると紹介した。
二つの小学校の公開授業を見学した明徳小(秋田市)の佐々木真友子教諭は「6年生の授業では意見の根拠に新聞を使う子どもが多く、うまく新聞を活用している印象を受けた。NIEの積み重ねで、言葉の選び方や考えを短くまとめる力が育っていると感じた」と話した。
大会実行委員会の馬越吉章会長は閉会式で「NIEとICTの両輪で前に進むべき時代。多様な実践事例を今後に役立ててほしい」と述べた。