神戸市で全国大会開幕 情報氾濫時代に新聞を

神戸市で開幕した第30回NIE全国大会で開催されたパネルディスカッション=31日午後

 教育現場で新聞を活用する「NIE(教育に新聞を)」の実践報告をする第30回NIE全国大会が31日、神戸市で2日間の日程で始まった。スローガンは「時代を読み解き、いのちを守るNIE」。日本新聞協会の中村史郎会長は開会式で「将来を担う子どもたちには情報氾濫の時代に情報リテラシーを高めてもらう必要があり、新聞の活用はうってつけだ」と強調した。

 「情報で、いのちを守る」をテーマにしたパネルディスカッションでは、昨年の兵庫県知事選や近年の災害時に交流サイト(SNS)や口コミで誤情報が拡散されたことに触れ、正しい情報を見極めることの重要性を確認した。

 兵庫県西宮市立浜脇中の渋谷仁崇主幹教諭は、まちづくりなど防災や減災に関して考えさせる際に新聞を活用していると説明。「子どもたちが自分事として捉える取り組みができたら」と述べた。

 作家の小川洋子さんは記念講演で、大会に先立ちNIEの授業を見学したことを紹介。「新聞を取り入れることで、授業が活気づくのを実感した。30年も続いている素晴らしい活動をぜひつなげていってほしい」と語り、新聞を活用する新たなアイデア創出にも期待を寄せた。

 初めて参加した生保内中(仙北市)の鈴木茂教頭(59)は「言葉や活字の持つ力の大きさや、豊かさを改めて感じることができた。大会での学びを今後の実践の原動力とし、若い世代の先生や生徒たちに伝えていきたい」と話した。

(2025/08/01 秋田魁新報掲載)